
「オウンドメディアを使ってみたいけど、どうすれば成功するか分からない。そもそも意味あるの?」と悩んでいる方はいませんか?
この記事では、オウンドメディアの成功のヒントや導入のステップを事例つきで解説します。
オウンドメディアとは?

オウンドメディアの定義
株式会社電通のグループ会社からなる組織が運営している電通B2Bコラム(2024年12月)によると、オウンドメディア=企業が自社で所有・運営するメディア、と定義されています。
こちらの記事の中にも記載がありますが、企業が広告として扱うメディアには、オウンドメディア、ペイドメディア、アーンドメディアの3種類あると言われています。
以下、それぞれの簡単な特徴です。
- オウンドメディア:自社で保有・運営して発信できるもの(Webサイト、ブログ、メールマガジンなど)
- ペイドメディア:広告費を払って発信できるもの(新聞、ラジオなど)
- アーンドメディア:消費者の発信によるもの(SNS、口コミなど)
他の2つと比べると、オウンドメディアは自分で発信する内容やタイミングを完全にコントロールできるのが特徴と言えるでしょう。
(参考:【5分でわかる完全版】オウンドメディアとは?運用メリット&作成手順、活用テクニック(電通B2Bコラム))
オウンドメディアとホームページの違い
複数の企業が発信している情報によると、オウンドメディアとホームページには以下のような違いがあると説明されています。
ホームページ
- ターゲット:ステークホルダー全般(顧客・取引先・投資家・採用希望者など)
- 役割:企業の公式情報を網羅的に伝える
- 目的:正確な企業情報の提示
- 更新性:基本的には静的、必要に応じて更新
オウンドメディア
- ターゲット:潜在顧客や見込み顧客
- 役割:読者の課題・関心に合わせた情報提供により、関係構築に寄与する
- 目的:集客・関係性を深める・ブランド価値向上、など
- 更新性:定期的な更新と改善が前提となる
オウンドメディアは、より顧客獲得に向けて設計されたものだと理解しましょう。
参考リンクは以下です。
オウンドメディアの代表的な活用例
オウンドメディアは、目的や対象ユーザーに応じて多様な運用スタイルが存在します。
ここでは、特に代表的な3つの活用カテゴリを紹介します。
1. 認知・ブランディング型(BtoC向け)
- 自社ブランドやその世界観を発信し、認知拡大・ファン獲得を狙うスタイル。
- SNSでの拡散を意識した運用が主となります。
2. 課題解決・リード獲得型(BtoB向け)
- 特定の見込み客を想定して課題解決を促す情報を提供し、資料請求や商談に結びつけるスタイル。
- ホワイトペーパーや事例紹介、業界動向など、内容に専門性が求められるのが特徴です。
3. 採用・企業文化発信型
- 自社の働き方や価値観をリアルに伝えることで、求職者とのマッチングを目的とするスタイル。
- 社員紹介やインタビュー、カルチャー記事などが中心となります。
どんなものを作れば良いかわからないという方は、リンクで記載したような記事で他社事例を参考にしてみてください。
参考リンクは以下です。
- 参考にしたいBtoC企業のオウンドメディア事例12選!:2025年3月版(Web担ガイド)
- 【BtoB/BtoC】プロが選ぶ「オウンドメディアの成功事例」とは(ティネクト株式会社)
- BtoB・BtoCオウンドメディア事例10選!成功ポイント解説付き(株式会社PUREWORKS)
オウンドメディアは意味ない?

オウンドメディアに意味がないと言われる背景
デジタルマーケティング企業である株式会社エンカラーズの記事(2025年4月)によると、オウンドメディアに意味がないと言われてしまう背景にはコストパフォーマンスや短期的な視点での課題、運用の難しさなどがあると指摘されています。
かかるコストに対する短期的なリターンが出なかったり、即時効果が出ないことだけで「意味がない」と判断されてしまうケースがあると、合わせて説明されています。
オウンドメディアは本来、短期的な効果を期待するものではなく、中長期的な運用によって価値が生まれるものです。
この点はあらかじめ認識しておきましょう。
(参考:オウンドメディアが意味ないと言われる理由と成功のポイント(株式会社エンカラーズ))
成果が出ないパターン
株式会社クロス・マーケティングが運用するWebコラムに公開されている記事(2025年3月)によると、オウンドメディア運用時に直面しがちな課題が紹介されています。
運用開始の決裁が通らないという社内起因の課題から、記事のコンセプト・中身・質の課題、運用や更新における課題、閲覧数が伸びない・売上に結びつかないなどの運用後の課題に至るまで、合計8つ挙げられています。
コンサルティング会社の視点から各フェーズにおける課題をわかりやすく記載したコラムになっているので、行き詰まった際にはこういった情報を元に自社がどこに課題を抱えているかを振り返ってみることも大事です。
(参考:オウンドメディアを運営する上での8つの課題|それぞれの解決策も解説(株式会社クロス・マーケティング))
自社で導入できるかを見極める判断基準
ここでは、自社がオウンドメディア運営に向いているか?の判断基準となる視点をいくつか紹介します。
株式会社ルーシーが運営しているデジタルマーケティング情報サイトで公開されている記事(2024年9月)では、以下の理由でBtoB企業はオウンドメディア運用が向いていると説明されています。
①商材の単価が高く費用対効果を得やすい
②無形商材や専門性の高い商材の価値をしっかりと伝えられる
③アプローチできるユーザー数が圧倒的に増える
BtoB企業こそオウンドメディアが適している理由と業種別成功事例(株式会社ルーシー運営サイト, バズ部)
ユーザー側があまり情報を持っていないBtoB商材では、専門的な情報を発信して価値をわかってもらうこと、潜在顧客にアプローチし続けることが重要です。
最終的に購買に結びついた際には、高単価ゆえに大きいリターンが期待できるのもBtoB商材の特徴となります。
逆に、単価が安い商材に対して運用を検討している場合は、オウンドメディア運用のコストに見合ったリターンが得られるか、をしっかり見直した方が良いでしょう。
また、テクロ株式会社が運営しているブログで公開されている記事(2025年7月)では、オウンドメディアの社内製作が向いているケースと、外注が向いているケースが紹介されています。
具体的には、社内にWebマーケティングや編集の人材がいる・長期的に社内でノウハウを蓄積したい・予算に限りがある場合には内製、社内に人材やノウハウがいない・スピーディに質の良いものを立ち上げたい・社内リソースはコア業務に割きたい場合には外注が適している、とされています。
立ち上げるのにも労力がかかり、立ち上げたら終わりではないのがオウンドメディアです。
立ち上げ・運営・更新を回すだけのリソースがあるか、どの程度の優先順位か、も重要な判断材料と言えるでしょう。
(参考:【完全ガイド】オウンドメディア戦略の教科書|失敗しない設計図の描き方から成功事例まで徹底解説(テクロ株式会社))
オウンドメディアの成功事例と導入のステップ

中小企業の成功例
Webコンサルティング事業を展開するStockSun株式会社が公開している記事には、オウンドメディアが数値的効果に結びついている事例を多数紹介しています。
冒頭の記事でオウンドメディアのカテゴリを紹介しましたが、こちらの記事は、それによって生まれた効果もセットで解説しているのが特徴です。
企画時には、オウンドメディア運用による具体的なメリット・投資対効果も求められることが多いため、こういった事例に着想を得ながら「オウンドメディアで何を狙うのか」を具体的に言語化していくことがとても重要です。
(参考:オウンドメディアの成功事例31選!運営を成功させるためのコツをあわせてご紹介【2025年最新版】(StockSun株式会社))
導入のステップ① ー準備ー
オウンドメディアを成功させるには、まず「なぜ立ち上げるのか」という目的の明確化が重要です。
株式会社GIGが運営するWebメディア「Conmark」では、初期ステップでの目的設定とKPI設計を最も重視しています。
推奨されている目的やKPIは、例えば「月間問い合わせ10件」や「SEOで30キーワード上位表示」など、数値で測れる目標です。
TMCシステム株式会社が運営するWebメディア「TMC Digital」でも同様に、目的とゴールの明確化を第1ステップに設定しており、その後にターゲットやカスタマージャーニーの設計を行う流れを提示しています。
目的やターゲット層の設計を疎かにすると、その後の運用の頓挫にもつながるのでこの段階での準備はとても重要です。
時間のかかる作業になりますが、めげずに取り組むことで皆が納得できるオウンドメディアの制作に着手できるでしょう。
参考リンクは以下です。
以降のステップもこちらのリンクを元に紹介していきます。
導入のステップ② ー設計ー
設計フェーズでは、読者の導線とサイトの情報設計を丁寧に行います。
Conmarkでは「導線設計」や「コンセプト設計」を個別のステップとして挙げ、ユーザーが自然に問い合わせや資料請求へ進むよう設計することが成功の鍵と述べています。
またTMC Digitalによると、運用体制の整備やCMS(WordPressなど)の選定を早期段階で行うことが重要です。
ここでの構造設計が曖昧だと、後からの修正コストが大きくなるため、設計段階で十分に議論することが求められます。
設計フェーズになってくると、実際に設計を手掛ける他部門とのやりとりも始まってきます。
初期でのミスコミュニケーションが大きな後戻りを招くこともあるので、丁寧な言語化を心掛けてやりとりできると良いでしょう。
導入のステップ③ ー制作・公開ー
設計が終わると、いよいよコンテンツ制作に入ります。
Conmarkは「コンテンツ制作方針の決定」を独立したステップとして設けており、「SEO」「専門性」「網羅性」などの視点から編集方針を固める重要性を説いています。
TMC Digitalは、初期段階でのコンテンツ数や投稿頻度についての目安を提示しています(例:まずは10記事用意し、週1で投稿)。
上記で挙げたコンテンツの量、質の双方について戦略を練っていくことが重要です。
導入のステップ④ ー運用と改善ー
運用フェーズでは、定期的な更新体制と成果のモニタリング体制の構築が必要です。
Conmarkでは「運用体制の構築」を最後のステップに掲げ、社内での役割分担・運用ルールの策定などを推奨しています。
これにより更新が滞らず、成果に繋がる運営が可能になります。
一方、TMC Digitalで最終ステップとして位置付けられているのは「振り返りと改善」です。
Googleアナリティクスなどを活用した効果測定や改善サイクル(PDCA)の実行を重視しています。
このステップにより、短期的な結果に一喜一憂せず、長期的な成長を目指す視点が養われます。
オウンドメディアでは長期的に運用を継続できる仕組みづくりが大変重要です。
制作後の体制やPDCAサイクルの設計も初期段階で計画しておくことで、成果が出るまで継続的に運用できるでしょう。
まとめ

オウンドメディアとは、自社が所有・運営し、顧客との関係構築や情報発信を自律的に行うメディアのことでした。
成功の鍵は、目的やKPIの明確化、読者視点での設計、継続的な運用・改善の体制づくりにあります。
本記事を通じて自社に合った運用のヒントを見つけ、実行に向けた一歩を踏み出していただければ幸いです。
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