KPIとは?意味・設定方法・管理方法までわかりやすく解説

KPIが業績向上を示しています

KPIという言葉が仕事の会議で出てきたり、上司から「KPIを設定して」と言われて戸惑っている方はいませんか?

本記事ではKPIの意味や、設定・管理の方法まで具体例付きで丁寧に解説します。

KPIとは

KPIについて疑問をいだいているサラリーマンの画像です

KPIは何の略?KPIの定義と役割

リクルートマネジメントソリューションズ社が2019年に公開した用語集によると、KPIは“Key Performance Indicator (重要業績評価指標)”の略であり、以下のように定義されています。

KPIはビジネスにおいて広く使われる用語ですが、目標の最終結果ではなく、目標達成に向けたプロセスを定量評価するためのものと説明されています。

KPIとは、目的に対し、それを達成するために有効かつ重要なプロセスが適切に実行されているかを定量的に計測する指標です。

KPIとは|人材育成・組織開発 サービスサイト(リクルートマネジメントソリューションズ)

会社やプロジェクトの目標に対し、KPIを「中間目標」のように解釈できると、目標達成までの道のりを作る手段として活用できるでしょう。

KPIとKGIの違いは?

同上のリンク内で、KGIはKey Goal Indicator (重要目標達成指標)と定義されています。

KPIが成果達成に向かう途中経過を評価する指標であるのに対し、KGIは最終成果を評価する指標として区別されます。

最終的な成果を評価するKGIと、そのプロセスを評価するKPIの双方を使うことで、着実な成果達成に向けた管理・運用ができると言えるでしょう。

KPIを設定する理由とビジネス上の効果

以下は、ビジネスコンサルタント社が公開しているコラム記事の記載です。

KPIは具体的で測定可能な目標を定め、それに基づいて個人やチームのパフォーマンスを評価します。これにより、組織は目標達成の進捗状況を常に把握し、戦略を必要に応じて修正することができます。

MBO、OKR、KPI、KGIの違いとは?目標管理手法を解説(株式会社ビジネスコンサルタント)

KPIを定めることで、組織と個人それぞれが「いつまでに何をどうするか」が明確になり、目標達成に向けて順調か、または軌道修正が必要か、の判断にも役立ちます。

KPIは単に数値で進捗を追えるようにするだけではなく、組織全体のコミュニケーションを活性化する役割も果たしていると言えるでしょう。

KPIの活用例と導入効果

KPIが議論される会議の様子です

新入社員にも使いやすいKPI活用事例

Manage Boardが2025年7月に公開した記事では、業界別・職種別にKPIの活用例が紹介されています。

製造業であれば製品の品質や生産効率、コスト管理、サービス業であれば顧客満足度やリピート率などのサービスの質に関係するものが紹介されています。

これらに共通して言えるのは、企業が達成したい業績(=成果)に直結するものをKPIとして設定しているということです。

こういった活用事例や自分の会社の事例を見て、「このKPIが会社の成果にどう結びつくか」を考えるようにすると、KPIに対する理解が深まっていくでしょう。

(参考:KPI目標設定の具体例【業種別・職種別】|手順やポイントも解説(Manage Board)

KPI導入による成果と改善例

Global Health Consulting社が紹介しているコンサルティング事例では、市立砺波総合病院においてKPIマネジメントを導入し「累積1億円の増収効果」を達成したと報告しています。

見えづらかった経営上の課題が見やすくなったことをきっかけに組織改革や人材育成に着手し、結果的に1億円増収を達成するまでのストーリーがインタビュー形式で語られています。

ただ目標設定するだけにとどまらず、組織の経営課題を可視化することができるのもKPIの1つの強みと言えるでしょう。

皆さんが活用される際にも、見やすいグラフやシグナルを使ってまとめると、上司や他の人に理解して貰えやすくなるはずです。

(参考:KPIマネジメントの導入で増収効果1億円、成果につながる「ツール」「組織」「人財育成」活用方法|市立砺波総合病院(Global Health Consulting)

KPI指標の作り方

KPI作成のために試行錯誤する従業員を表しています

下記参考リンクに紹介した複数の企業Webサイトやメディアによると、KPIは以下の順序で設定するべきだと説明されています。

  1. KGI(重要目標達成指標)の設定
  2. CSF(主要成功要因)の抽出
  3. KPI(重要業績評価指標)の設定

CSF(主要成功要因)とは、成果(=KGI)を達成するために重要な管理項目のことです。

KPIは途中経過を測定する指標でしたが、CSFは成果達成のために実施するアクションを指します。

いくつか、KGI、CSF、KPIのセットの例を記載します。

  • 飲食店の例
    • KGI:年間売上1200万円以上を達成する
    • CSF:
      • リピーター客の増加
      • 客単価向上
      • ランチ・ディナーの集客バランス最適化
    • KPI:
      • 月間リピーター来店数 200人以上
      • 平均客単価 2000円以上
      • ランチ:ディナーの売上比率 50%:50%
  • 製造業の例
    • KGI:売上を前年比120%にする
    • CSF:
      • 品質トラブルの削減
      • 納期遵守率の向上
      • 技術営業による提案体制の構築
    • KPI:
      • 月次不良率 0.3%
      • 納期遵守率 98%以上
      • 顧客訪問での技術提案件数 月10件以上
  • ITサービス業の例
    • KGI:年間有料会員数を2,000件に増やす
    • CSF:
      • 無料ユーザーの有料転換率の向上
      • 顧客サポート体制の強化
      • 広告ページの継続的な改善
    • KPI:
      • 無料会員→有料会員転換率 10%以上
      • 顧客満足スコア 80点以上
      • 広告ページの見直し回数 月4回以上

英語の略語が3つもありとてもややこしいですが、成果(=KGI)を達成するための施策(=CSF)、施策の進捗を評価するための指標(=KPI)、という建て付けを理解できると良いでしょう。

以下、参考リンクです。

KPIの計算方法や数値化のコツ

KPIが表示されたモニタの絵です

計算方法をクリアにするために明確な定義が重要

Tableau Japanが2023年6月に公開している内容によると、KPIを定義するにあたってはSMART基準に従うことを推奨しています。

以下が、「SMART」それぞれが意味する内容です。

  • Specific:具体的であること
  • Measurable:測定可能であること
  • Achievable:達成可能であること
  • Realistic:現実的であること
  • Time-bound:時間制約(期間、期限、など)

例えば、製造業における“月次の不良率0.3%未満”というKPIについて、SMART基準で掘り下げてみると、以下のようになります。

  • Specific:具体的であること → 当社から出荷した製品についての月間不良率を対象とする
  • Measurable:測定可能であること → 月間不良数/月間出荷数 ×100%で算出可能
  • Achievable:達成可能であること → 過去実績が0.4−0.5%、改善活動により達成可能
  • Realistic:現実的であること → 売上にも直結する重要な指標で、妥当性がある
  • Time-bound:時間制約(期間、期限、など) → 毎月測定、3ヶ月連続達成を目指す

このように明確に定義をすることによって、誰が見ても同じ計算結果を得られるようにすることが重要です。

(参考:SMART 目標とは(Tableau Japan)

KPIを数値化できないときの対処法

数値化が難しいものをKPIにしたい、という方もいるのではないでしょうか。

経済産業省が2019年に発表したDX推進指標の中で、定性指標については成熟度を6段階で評価する指針が示されています。

この例ではレベル0「未着手」〜レベル5「グローバル市場におけるデジタル企業」のようにレベル分けして各レベルごとの成熟度合いを定義しており、定量化できないものに対して自らレベルを定義することで指標として扱えることがわかります。

具体的なレベル設定は、1人で行うよりも有識者を集めてみんなで知恵を出しながらやると良いでしょう。

(参考:「DX推進指標」とそのガイダンス(経済産業省)

定量・定性で考えるKPI

経済産業省が実施した「デジタルトランスフォーメーション調査2025」によると、「DX戦略・施策の達成度は、実施しているすべての取組に定量・定性問わず、KPI(重要な成果指標)を設定し、評価されていますか?」という質問に対し、回答企業の58%が「すべての取組にKPI設定・評価をしている」と回答しています。

この例はDXですが、定性的なデータをKPIにすること自体は広く行われていることがわかります。

この記事で紹介した数値化の手段も駆使して、定量・定性両方扱えるようになると良いでしょう。

(参考:デジタルトランスフォーメーション調査2025 の分析(経済産業省)

KPI管理とは?運用と見直しのポイント

KPIについて話し合う幹部を表しています

KPIをどのように管理するか

経済産業省が2022年に発行した「人的資本経営の現状・課題とトップランナーたちの取組」では、大手企業において経営戦略と連動する人材戦略の指標(KPI)を設定され、経営会議で定期的にレビュー・修正が行われている事例が紹介されています。

レビューの結果行った軌道修正についても紹介されており、経営層による継続的な管理&その後のアクションにより、成果創出結びついていることがわかります。

KPIは設定して終わり、ではなく、設定後に決定権のある人たちでレビュー・方向づけをして初めて真価を発揮すると言えるでしょう。

(参考:人的資本経営の現状・課題と トップランナーたちの取組(経済産業省)

KPIが機能しないときのチェックポイント

SAIRU社のWebサイトでは、KPIにおける失敗例が多数紹介されています。

設計時の失敗例としては、KGIとの紐づきや、現実性を欠くなど、この記事でも紹介したようなポイントを守れないケースが紹介されています。

また、「レビューのタイミングが決まっていない」、や、「責任者が割り当てられていない」など仕組み面での陥りやすい失敗も参考にできるでしょう。

うまくいかないケースに直面したら、この記事で紹介したメソッドや参考記事を元に、基本に立ち戻ってどこが上手くいっていないかを見極めるようにしましょう。

(参考:KPIの設定・運用でよくある失敗例と解決策15選(SAIRU)

まとめ

KPIを理解できた従業員を表しています

KPIとは“Key Performance Indicator (重要業績評価指標)”の略であり、目標達成のためのプロセスを評価するための指標でした。

KPIを設定する際には、目標からツリー構造で分解することと、定期的なレビュー&アクションにより成果創出に繋げていく運用がとても重要です。

この記事で学んだ内容を、皆さんが設定・運用を予定しているKPIがどのような背景で設定されているか、あるいはどのように考えて設定するべきか、の理解に役立てていただけると嬉しいです。

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